腰痛が悪化してきた時にみられるのですが、激しい痛みによる生活の質の低下でさらに症状が悪化してゆくスパイラル現象があります。
腰痛をはじめとした全身の関節痛は多くの場合生活習慣により引き起こされていますが、特に体を動かさないことから来る骨格の歪みが挙げられます。
一般的には特に強い動きや無理な姿勢が原因と思われがちですが、その下地として日常生活で身体を十分に動かさないことが大きな原因と考えられます。
骨格が歪んだときに関節は変形をして正常な動きができなくなります。骨盤や脊柱など体幹部分で歪みができるとバランスをとるための反対の歪みが作られ全身の前後左右のS字カーブが発生しますが、S字カーブが強くなるにつれて関節は可動域が減少してゆきます。
aご本人の自覚としては体が重くだるい・硬い・動きが悪いなどから疲れたのかなと判断をすることになり、場合によっては痛みを全く感じていないこともあります。
瞬間的に痛みがあっても日常的に繰り返されている事なので記憶に残っていないこともあるようです。
疲れをとるためや体を休めるために動きを制限して座り・寝ている時間が増えてくるのですが、本当は疲れているわけではないのでいつまでたっても改善することはありません。
しかしこの時間の経過がより事態を悪化させているのです。
このようにして起きる運動量の減少が骨格や筋肉の硬直を招き、筋肉量の減少により体幹の歪みを増幅させてゆく ”腰痛のスパイラル(悪循環)“ に陥ります。
b次第に体を動かすのが億劫になりますが、それでも変形により可動域の減少した関節を無理に動かしたときに関節はさらに変形をすることになります。
膝や肩にも痛みは広がりを見せ、わずかな動きでも至る所が痛むようになります。
ここまでくると楽な姿勢は無くなり、寝ても座っても常に激しい痛みに苛まれることになります。骨盤から背骨の広い範囲で痛みが起きていますので手術も効果的ではなく、鎮痛剤も効くものがなくなりまさにお手上げの状態で、できることが残されていません。
ではいつの時点で対処していればいいのかといえばaの時点になります。
aからbまでにはかなりの時間がありますが早いに越したことは有りません。
軽い痛みがいつまでも続く保証はなく、悪化することの方が一般的です。
そして遅くなればなるほど回復までの時間は増えてゆきます。
二足歩行をする人類の骨格には重力により圧縮する力が常に加わっていて、座っているときにはさらに骨盤が歪みやすい仕組みになっています。
腰痛が悪化した方の骨格は寝ているだけで痛みが強くなる傾向があり、横向きにしか寝られない方が少なくありません。
何が問題なのかといえば、同じ姿勢を長時間続けることが骨格にはよくないのです。
そこで当店では当初、”歩きましょう“ と皆さんに呼び掛けていました。
でもいろいろと問題があることに気が付きました。
今までほとんど歩くことの無かった方がいきなり一般的に言われている1万歩は歩けないのでとりあえず3千歩あたりから始めて徐々に増やしましょう‥といってもとりあえずの3千歩に届かない。やっと歩いてもあちこちが痛くて続かない。残った時間は一日中座っている・・などの問題に直面することがほとんどです。
痛みが強すぎる、体力がなくなっている、気力がなくなっているなどの背景があってのことかと思うのですが、中にはもともと身体を動かす習慣がなかった場合もありそうです。「自分はそういう人間」「ずっとそうしてきた」「いまさら・・・」という心の問題が無視できないのです。運動の習慣のない方に運動を薦めるのは特別なことを始めるというハードルの高さがありますので言い方を変えて「椅子に座る時間を少なくしましょう」としています。特別なことを始めるのではなく日常生活の中で積極的に体を動かしましょうということです。
ただ、脊柱管狭窄や変形性膝関節症の場合はそれすら不可能になります。動いた分だけ悪化する可能性があり骨格矯正にできることが残されていません。
そうならないためにも普段から積極的な生活を心がけてください。
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